珈琲とmilkのパーセンテージ

苦かったり甘かったりするので無機質の筆や箱で切り取ってみる。

ヴェニスの商人

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ヴェニスの商人、パッと読んだだけではアントーニオーそんなにいい人かな?と思ったんだけど解題と解説にあった「ヴェニスの商人」の額縁から外さず物語の役としてみる(当時、道徳的に嫌われていたが必要であった高利貸しをしているユダヤ人=悪役)は読んでみると確かにそうかもと思える。

 

舞台に於る登場人物は総て二重の役割を持っている。一つは、そこに写しとられている「人生における役割」であり、もう一つは劇的効果としての「作品における役割」である。
ヴェニスの商人』解題 p169

この「作品における役割」を分かるまで丁寧に示してくださっているから有り難かったです🙏

 

終始思ってしまったけど言葉が心地良いし(歌や韻)、展開が鮮やかだし(箱選びや「名判官ダニエル様の再来だ」)、絶対楽しくなると思える演出(法学博士と書記)があって舞台観たいな~と自然に思える。映画アーネスト式プロポーズを見てオスカー・ワイルドの真面目が肝心読んだ時くらいの舞台観たい欲。

 

おのれにふさわしからぬ栄誉の衣を誰もまとうてはならぬ……ああ、あの身分、地位、官職というやつが、汚れた手ではものにできず、名誉はそれを身につけるものの値打ちに応じて手に入るということになったならーー

今は素頭の下僕でも、改めて帽子をかぶる者もずいぶんたくさん出てこよう!そして、今は人を頤で使っていても、そのときになって逆に頤で使われる男もずいぶんたくさん出てこよう!
ヴェニスの商人 新潮 p73

シルクハットをかぶる理由やバンブルの結末に思えただけ。名誉ある本物はオリバーのよう。

 

オリバー!とキャッツに似た感覚があると思った際にオリバー・ツイストが原典だ!と勘違いしたわけだけど、ヴェニスの商人の素材となっただろう作品の紹介を見て過去作品からの影響は常にあるんだなと思いました。

 

無知すぎてビルがフェイギンに言う台詞、ガリガリもじゃだと思ってたんだけどいや亡者だな?と気づいて、つい今したがたヴェニスの商人読んでまだ違ったわ我利我利亡者だなって思いました。道のり遠い。