珈琲とmilkのパーセンテージ

苦かったり甘かったりするので無機質の筆や箱で切り取ってみる。

ガラスの動物園/消えなさいローラ-2023/11/18-

2023/11/18(土)マチネ

 

上演台本・演出渡辺えり

音楽監督:川本悠自 美術:伊藤雅子 照明:宮野和夫 音響:長野朋美 
衣裳:黒須はな子 ヘアメイク:馮 啓孝 演出助手:伊達紀行 舞台監督:榎 太郎
制作助手:川越ひかる、松本美緒、河野理絵 制作:和田幸子 チーフ・プロデューサー:森田智子
宣伝美術:山下浩介 宣伝写真:神ノ川智早 宣伝衣装:森 保夫 宣伝ヘアメイク:山本絵里子

ミュージシャン/川本悠自(コントラバス) 会田桃子(ヴァイオリン) 鈴木崇朗(バンドネオン

 

ガラスの動物園
テネシー・ウィリアムズ 翻訳 田島 博
出演:尾上松也 吉岡里帆 和田琢磨 渡辺えり
舞台は⼤恐慌時代1930年代のアメリカ中南⻄部、セントルイス
華やかな過去の想い出の中で⽣き、⾃分の考えが正しいと信じて疑わない⼝うるさい⺟・アマンダ、脚が悪く極度に内気でガラス細⼯の動物たちと古いレコードだけを⼼の拠り所とする姉・ローラ、そんな⺟と姉に閉塞感を感じながら現状からの脱却を夢みる⽂学⻘年の弟・トム。裏さびれたアパートでウィングフィールド⼀家はそれぞれに窮屈な思いを抱えながらも、つましく暮らしていた。
ある⽇、ローラの現状に危機感を抱いていたアマンダは、男性との出会いの機会を与えるため、トムに職場の同僚を⼣⾷に招くように頼む。⼀家の元に訪れたジムは⾼校時代ローラが恋⼼を抱いていた⼈物で、⼀家に明るい変化が起こったように⾒えたが…。

 

『消えなさいローラ』
作 別役 実
出演:尾上松也 和田琢磨
家を捨て、セントルイスを⾶び出していった弟のトムが帰ってくるのを、⺟とともに姉のローラは待ち続けていた。
そこへ突然、葬儀屋と名乗る男がやってきて…。名作『ガラスの動物園』の後⽇譚を描く⼆⼈芝居。

https://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/23_Glass_Laula/

 

評判をこれでもかと上げられてから出てくるオコナー、元々自由度が高い役なのかなぁと思いつつ、わだくまさんオコナーの自信家野心家社交的で教えたがりは総合的に一緒にいると明るくなれる人に感じました!台詞からは周囲を下に見て虚栄心を感じるけれど観た印象には強く残らず良い人にとどまる。

消えなさいローラ(マチネ)の女役もわだくまさん。傷跡を隠すカールかかった前髪がとても可愛らしく見えるの絶妙なバランス。不安定な母親とローラが入れ替わり立ち替わりする自然さ。明らかに不自然なのにあたかもその場で暮らしているかのような感覚になる凄さ。

 

スケジュール把握してないけどこないだスリルミーの写真を見かけたような気がしてたのに普通に目の前にいらして松也さん謎すぎる(それで来月は五ェ門…???🤔)

有り得ないと思っているのに今この一時信じてしまうのは現実を切り込む葬儀屋の松也さんが芝居とリアルの狭間で巧みに漂ってらっしゃるからなのかななんて後から思いました。葬儀屋さんわりと芝居がかってる台詞でも部屋の違和感が勝るからリアルに感じる。

松也さん格好良い方だと思うんだけど舞台で見ると可愛いと思うことの方が多い。語り部は淡々と言葉を深く沈み込むようなのに息子トムは言葉づかい(~だよぉ)から母への甘えも見えてすごいかわいい。友達に話したら同意してもらってそう思うの私だけじゃないんだと思えて安心した(笑)

 

傘、ワインボトル、ダンスホール、トランクから浮き上がる紙など公演通して視覚的な美しさが素晴らしくて!

傘を用いた仕草というのはこうも映えるものなんだなと開いた状態のエレガントさに思い、閉じた状態の洗練された身のこなしにも思いました。

真ん中にテーブルがあって自由に動けない中、ダンスシーンではないシンプルな動作から朗読を聞いて頭の中で光景が思い浮かぶように一連の踊りが思い浮かぶ。とても美しい。

真ん中にある吊り照明が可動式だったのだけど今までを考えても可動式吊り照明を舞台で見るのが好きだなと思う。たぶん毎回素敵だな好きだなと思ってる(笑)
あと照明かテーブルか途中コンタクトのpart3ラストが思い浮かんで瞬間緊張したけどそういうんではなかった。

 

台詞の端々に息づいた言葉(例えば枯れ葉はベトナム戦争かなぁとか)に気づけていない自覚はありつつも一つ一つピースを集めるために観ているところもあるよねとか悠長に考える。

トムの労働はジャージーボーイズのボブゴーディオが工場の話をするくだりを思い出させるし、オコナーがビリー・エリオットを思い出させる。
個人的には逃げるつもりで作品(舞台でも映画でも)にすがると後悔する気がしてる。だから私は作品に自分の機嫌はとってもらわないことにしてる。

お母さんが何がなんでもトムと話そうとしない場面、めちゃくちゃ努力してるな~と思うんだけど実際あんなに怒りは持続しないよね?あんなに不機嫌を保って示し続けるの頑張っても出来る気がしない。ローラは保てるから消えなさいローラなのかなぁ。

ガラスの動物園と消えなさいローラを二本続けて見たからアスペクツ・オブ・ラブの巡りのように"待ち続ける"連鎖を感じて怖くなってしまった。でも不自然な均衡が崩された足元にはガラスが散らばってるのかと思うとそれも怖い。