珈琲とmilkのパーセンテージ

苦かったり甘かったりするので無機質の筆や箱で切り取ってみる。

映画ドリームガールズ

監督 ビル・コンドン
製作 ローレンス・マーク
製作総指揮 パトリシア・ウィッチャー
原作 トム・アイン
脚本 ビル・コンドン
撮影 トビアス・A・シュリッスラー
美術 ジョン・マイヤー
衣装 シャレン・デイビス
編集 バージニア・カッツ
音楽 ヘンリー・クリーガー
振付 ファティマ・ロビンソン
作詞 トム・アイン
音楽監修 ランディ・スペンドラブ マット・サリバン

 

カーティス・テイラーJr.      ジェイミー・フォックス
ディーナ・ジョーンズ       ビヨンセ・ノウルズ
ジェームス・“サンダー”・アーリー  エディ・マーフィ
エフィー・ホワイト        ジェニファー・ハドソン
ローレル・ロビンソン       アニカ・ノニ・ローズ
マーティー・マディソン      ダニー・グローバー

 

トニー賞6部門に輝いた名作ブロードウェイミュージカルを、映画「シカゴ」の脚本家ビル・コンドンが監督・脚本を手がけ映画化。1960~70年代に活躍した伝説のR&Bグループ「ザ・スプリームス」をモデルに、女性3人組ボーカルグループの栄光と挫折を描く。1962年、デトロイト。エフィ、ローレル、ディーナの3人は、ボーカルグループ「ドリーメッツ」を結成する。音楽業界での成功を目指す野心家カーティスにスカウトされた彼女たちは、地元の人気歌手ジェームス・“サンダー”・アーリーのバックコーラスに抜てきされ、注目を集めるようになるが……。人気歌手ビヨンセがディーナ、「Ray レイ」のジェイミー・フォックスがカーティスを演じたほか、本作が映画デビューのジェニファー・ハドソンが圧倒的な歌唱力でエフィを熱演し、2007年・第79回アカデミー賞助演女優賞を受賞した。

youtu.be

ドリームガールズ : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

 

映画ドリームガールズ見ました!

 

final scene

youtu.be心待ちにしてくれているファンにも、"家族"にも、失うものであるカーティスにも舞台上から感謝と愛を届けて解散するあたたかさと後腐れのないキッパリとした決断の心地よさ晴れやかさが素晴らしい✨

別れ際まで笑顔で気持ち良く、別れた後は全て捨ててスタートをきる・感情ごと綺麗に分けて行動するサッパリした人は好きです。ただ普段そうしたいと思ってもドリームガールズほど気持ちよく格好よく別れられるわけではないから理想的!
あと単純に女性が成功を夢見て叶えている姿というのは大変力を貰えます。したいことをしたいようにしている光景自体がとても夢ですけど本当は女性活躍なんていう幻じゃなく現実でありたいよね!

ダンス10、ルックス3

もう女性に限らないとは思いますがダンス10、ルックス3は歌でも同じだとドリームガールズは伝えてくれます(いくら技術があっても見た目の良さがなければ受からない)。今までルックスは美しいか可愛いかだと思っていたけどもっと広義の見た目としても捉えられるんだろうな。

プラスしてもうドリームガールズに出てくる女性たちが受け入れてしまっている”女性は性的に見ても良い”という価値観。言葉だけでなく実際に手を出されても当たり前に受け入れています。今でも当たり前にある価値観だから映画と現実で変化なしなのも悲しいところです。性別関係なく誰だって嫌なことだけれどそれがあまりに大多数の思考ならいちいち構っていられないのも事実なんだろうなぁとも考えますが良くないです。


マーティが告げる「失うものもある」が夢を追う代償として深く響く

カーティスは黒人音楽を白人の間でも広めて大成功(この発想はキャデラックで説明されてるのかな? )するのを夢見ている。
ディーナはカーティスの夢に賛同するも次第に自分が望むものとの解離を感じ始める。
エフィは歌しか歌えない自負がある。迎合した白人コミュニティでの成功ではなく持ち味のソウルフルな歌声をいかした上での成功を夢見ている。
C.C.は不当な扱いを受けている現状を変えようという部分に賛同していて曲を提供する。

”ブラックミュージックの人気曲にアレンジを加えて白人アーティストが新曲として売り出す”過去に憤っていたことをそのままカーティスはエフィに行う(作曲C.C.歌唱エフィの曲をアレンジしてディーナに歌わせる)。これは夢を叶えるためにした結果が必ずしも幸せではなくなってしまう決定打となる。

一度はカーティスの夢にのるみんなだけれど各々が思い描く夢との乖離から次第に離れていく。寂しいことだよね。

恋愛

商品を引き留めるためエフィと恋人であるにも関わらずディーナにも手を出すカーティス。
彼は私を愛していると我が子を産み、育てるエフィ。
反対に商品として売れなくなるために母になれないディーナ。
結婚していながらローレルと愛人関係を8年続けるジミー。

ローレルが「私、もう18よ!」と言ってたのでえ?18なの??ジミーそれ知ってる…?と思って。スターでも遊び人だけどローレルいいの?くらいに思ってたけど10代なんて若すぎてとんでもないことだったよね。

初めの場面からエフィが離れていくまでそんなに月日経っていないのと普段からの態度でエフィの変化に皆が気づけないのかな?年月が経ってエフィから子供が9歳だと打ち明けられて父親を把握するディーナの頭の良さとても好き。

それにしてもディーナが言葉少なで理解したのは母になることを意識した女性ならそうだろうなぁと思ってもカーティスが気づくのはどうしてなの?なんで自分の子供と分かるのか分からないですけどきっとパズルのようにハマって導き出されたんだよね。そこには頭の良さを感じてどんな気持ち?と思ってしまいます。

マジョリティな理想の女性像(男性像)を理解している

カーティスに世の中(白人社会)に受け入れてもらうにはどこが突破口かを見極める才能があったという中の一部としてマジョリティに支持を得る偶像を見極められたのだと思う。映画クレオパトラがディーナ本人とはかけはなれていても世の中で支持されるイメージはカーティスがプロデュースする方なのだと白人映画プロデューサーたちの「思ったより口が悪いんだな」というような発言から感じられる。

 

マイケル・ベネットに捧ぐ

マイケル・ベネットさんのミュージカルはコーラスラインしか知らないのでそれしか分からない。気になるついでに折角なのでちょっと考えたことメモする。

映画パンフレットより

映画パンフレット《ミュージカル「ドリームガールズ」誕生秘話》より引用
「トムの脚本が気に入ったのは、ショウ・ビジネスのリアルな真実を捉えていたからだ」というのはNYマガジンに掲載されたベネットのコメントだが、確かに、芸の実力よりもルックスが重視されるマスメディアの現実や、創造性が商業主義に侵されていく過程をシビアにみつめた「ドリームガールズ」のドラマは、ひじょうにリアルであると同時に普遍的だ。 ここで描かれているのは、特定の人種によるアメリカン・ドリームの達成物語ではない。 ショウビズ界での成功を夢見る者たちが、 イノセンスの喪失という代償を支払って繰り広げる 「過酷なサバイバルの物語」 なのである。 その部分に、オーディションを題材にした「コーラスライン」と同じ遺伝子が宿る「ドリームガールズ」は、やはりどこまでも<マイケル・ベネットのミュージカル>だ。 そして、そのことを深く理解していたからこそ、ビル・コンドンは、今回の映画版をベネットに捧げたのだと思う。

「ショウビズ界での成功を夢見る者たちが、 イノセンスの喪失という代償を支払って繰り広げる 「過酷なサバイバルの物語」 なのである。」

ショウビズ界での成功を夢見る者たち=自分たちの歌が評価されるのを夢見るドリームガールズ

イノセンスの喪失=カーティスによる大成功を狙う過程でメンバーの変更や自己の意思、思想、音楽の規制

過酷なサバイバルの物語=黒人コミュニティだけでなく白人コミュニティでも成功させること

            また、成功を手放しても自身の誇りを大切にすること

私はそう思ったけどどうだろう?

コーラスラインに映して

この作品が生まれるきっかけというのは、信じてもらえないかもしれませんが、ウォーターゲート事件にあります。あのときの公聴会をテレビで見ていて感じたものから、この作品は生まれました。つまり、あのころアメリカ中を支配していた虚無と無気力への反発です。

クリエイター<マイケル・ベネットが語る>|『コーラスライン』作品紹介|劇団四季 (shiki.jp)

1972年6月 17日アメリカの首都ワシントン D.C.ウォーターゲート・ビルにある民主党全国委員会本部に盗聴装置が仕掛けられようとしたことに端を発し,R.ニクソン大統領の辞任にまで発展した事件。犯行グループは現場で逮捕されたが,ニクソン大統領再選委員会ならびに大統領側近がこの計画に関与していたことが明らかになったために重大な政治問題となり,さらにニクソン大統領自身が事件のもみ消し工作を行なったとの疑惑まで出てきた。こうして大統領に対する証拠提出要求をめぐって大統領と議会との対立が深まったが,最高裁判所が証拠提出要求を支持する判決を下し,下院司法委員会が大統領の弾劾を可決するにいたったため,ついにニクソンは 74年8月9日大統領を辞任した (→ニクソン大統領弾劾問題 ) 。この事件がアメリカ国民に与えた衝撃は大きく,大統領職への信頼の念が失われたほか,アメリカの政治制度そのものに対する内外のイメージは大きく失墜した。

ウォーターゲート事件とは - コトバンク

第二次世界大戦後,超大国となったアメリカが中心となって成立した国際秩序のこと。「アメリカの平和」と訳される
大戦終了時アメリカは自国通貨のドルを基軸通貨とする経済体制を成立させるほどの圧倒的な経済力をもち,軍事的にも唯一の核兵器所有国であった。しかし1960年代半ば以降その影響力にはかげりがみられる。

パックス−アメリカーナとは - コトバンク

アメリカのパワーとエネルギーに対する信仰・信頼感を失う、栄光の消滅を目の当たりにして価値観が変わったということなんですね。

劇団四季MUSICALS 浅利慶太とロイド=ウェバー』

ブロードウェイと共に歩む「亡きマイケル・ベネットへの贈り物 浅利慶太と語る」より

P140
リチーという黒人の青年が、 「I'm black (僕は黒人だ)」と自己紹介する場面があります。 ブロードウェイではお客様がどっと笑っていました。 僕が日本には黒人がいないから黒くメーキャップでもしない限り、この科白が使えないと言うと、彼は非常に不思議そうな顔をして「日本には人種差別問題はないのか」と聞くのです。日本は単一民族の国だと説明すると、彼はこのキャラクターは思い込みの激しい南部の男であれば黒人である必要はないと解説してくれました。つまり、日本で言えば熊本の肥後もっこすのようなタイプでしょうね。問題はこの科白の持つユーモアをどうするかだったのですが、そのときは結論が出なくて、マイケル・ベネットは僕に一任してくれました。そして日本初演の初日、彼と僕が日生劇場の監督室で見ていると、その科白で客席から爆笑が湧き起こったのです。いろいろ考えた末、僕が「男です (I'm a man)」と訳したのが功を奏したと言えましょうか、ブロードウェイと同じ反応を呼び起こすことができたのです。 彼はとても喜んでくれて、今後黒人を使わない場合は君の訳を使うようにしようと言っていました。

それからボビーの場合もそのユーモアのセンスがとてもアメリカ人的なものだったので、上流の嫌味な家庭に育って、自分の家族を嫌っている青年というキャラクターだけ尊重して科白は日本の観客にフィットするように料理させてもらいました。マイケル・ベネットは本質さえ理解していれば細部には柔軟な考え方のできる人でした。

P141

浅利 その通りです。 アメリカ社会と言えば最近の稽古でキャシーとザックのやりとりのなかにあらたな発見をしました。芝居の終盤、ふたりが訣別の原因をふり返るシーンがありますが、そのときキャシーがザックに向かってこう言うのです。「決心じゃないわ。それは病気よ。 もっと上、もっと上、もっと上! 私は我慢できない。あなたは死ぬまで毎日毎日二十四時間仕事から仕事へと挑み続けるつもり? 自分が楽しいからじゃないわね。 なにかを証明するつもりなんだわ。私と同じ。私もそうだったのよ。あなたを喜ばせ、そばにいてもらうため、とり戻すために。でも私はもう嫌だわ。 私は自分が好きなこと一生懸命できる限りやり続けたい。少なくとも私は自分のためにやってる。あなたは誰のためにやってるの?」

ザックが追っているのはアメリカン・ドリーム。キャシーはそれに対してNOと言っています。ここにヴェトナム戦争以後のアメリカ人のひとつの屈折が出ている今回改めて感じました。このやりとりのあと、キャシーはラインで踊るダンサたちを見て「誇りを持ってこのなかのひとりになるわ。みんな素晴らしい人たちよ」ときっぱり言い放ちます。このシーンは、世界の警察官だった偉大なアメリカが自己否定して one of them になりたいと願うように変貌しつつあることを示唆しているのではないでしょうか穿ち過ぎかもしれませんね。演出家は牽強附会*1な商売ですから。

無理やり結びつけるものではないけどザックがカーティス、キャシーがディーナ含むみんなとも思えるのかも。夢見るのはアメリカンドリームでなく、したいことをして「誇りを持ってこのなかのひとりになるわ。みんな素晴らしい人たちよ」のone of them。

One of them

A Chorus Line (1985) - One Scene (8/8) | Movieclips - YouTube

群衆のひとりである貴方は(も)素晴らしい人だったり、主役でないひとりひとりが主役だったり刺さるからこそ直面し難さもある喜怒哀楽のつまったナンバー。

ダンサーさん好きでコーラスライン観るとものすごく刺さりすぎてあの緊迫した身動きとれなくなるような感覚がある。これ歌だったらドリームガールズ・コーラスに回るエフィにも共通するんだろうか?ドリームガールズだったらもう少し冷静に見られるかもしれない。

捧げ派と捨てて派

コーラスラインというと違いが明確に出るこの歌詞のことを思い出します。カーティスは身を捧げている人の方だと私は思うなぁ。カーティスは捧げだと思うけど他の皆は捨ててかもしれない。

 

そういえばドリームガールズの台詞で出てきたの(WSSの)ジェローム・ロビンスだった?途中ハッとした気がする。

 

Start A Fire

本当にしたいことを曲げても他の目的を優先させるかというところでLa La Land思い出す。

La La Land (2016 Movie) Official Trailer – 'Start A Fire’ - YouTube

 

吹替

ドリームガールズ、マーティーの吹替を宝亀さんがされてたけれどもうギリギリ言葉が聞き取れるというか何故あの声で言葉が伝わるのかよく分からないけど分かるみたいな声だったの何を表現されているんだろう??訛りとかなのかな?

ミュージカル映画の吹替は話し声と歌声の繋ぎ目がどうしても気になってしまうもの。エディ・マーフィーといえばの山寺宏一さんが前に吹替る俳優さんの声の高さに声を合わせてなるべく導入を自然にすると話されてたと思う。ドリームガールズは山寺さんだけでなく台詞から歌へ切り替わる時に違和感がないなぁと今振り返って思いました。

 

映画みるきっかけは

spiさんがミュージカルドリームガールズのカーティスされるからです🙇いつも機会をありがとうございます!

まだドリームガールズという作品をやりますよ~と発表された時、作品ファンにあのよくクズって言ってる役(カーティス)とか可能性ないの?と聞いたらあんなクズでいいのか?と返されました(笑)

役であって役者さん本人ではないと思っても未だにアニーの市長怪しいと感じるらしくそんなインパクトある悪役素晴らしいじゃん?と思ったんだけどいざ見てみたら事前に色々聞いていたり、ファンゆえのフィルターかかっていたりするからか確かに悪いが何故そうしようとしたか背景のある人物なんだな~とも思って。どうなんだろう?見聞きする限りクズと聞きますが皆クズって思うのかな🤔そして確かにC.C.は聞いていた通りめっちゃいい役!

日本オリジナルのもの・舞台(ジパオペや刀ミュなど)を世界へというspiさんご自身の夢はカーティスと同じくらいのスケールで物事を見ているように私からすると感じます。そういう共通点ゆえキャスティングされてるのかな?と思っちゃうくらい😊

バッドサイドにステッピントゥーザしてもついていきたくなるような魅力あるカーティス楽しみです✌️

*1:自分の都合のいいように、強引に理屈をこじつけること