珈琲とmilkのパーセンテージ

苦かったり甘かったりするので無機質の筆や箱で切り取ってみる。

ピピン-2022/09/05-

2022/09/05(日)マチネ

東急シアターオーブ

 

ピピン森崎ウィン

リーディングプレイヤー:Crystal Kay(クリスタル ケイ)

チャールズ:今井清隆

ファストラーダ霧矢大夢

キャサリン:愛加あゆ

ルイス:岡田亮輔  

バーサ(Wキャスト) :中尾ミエ前田美波里  

テオ(Wキャスト):高畑遼大 / 生出真太郎 

 

加賀谷真聡 神谷直樹 坂元宏旬 茶谷健太 常住富大 石井亜早実

永石千尋 伯鞘麗名 妃白ゆあ 長谷川愛実 増井紬

 

スペシャルゲスト

ローマン・ハイルディン

ジョエル・ハーツフェルド

オライオン・グリフィス

ハメド・ブエス

エイミー・ナイチンゲール

youtu.be

ミュージカル「ピピン」 <オフィシャルHP> (pippin2022.jp)

舞台は真なる静寂を味わえる場所だと改めて感じました。あるものがない、ないものがある場所でもある。途中にオマージュされてるACLがそうであるように観客は舞台の裏側に興味を持ってる。夢醒めのように役割が与えられ世界を生きる、それがサーカスであるのたったひと時の慰みでIt's Entertainment🎪50年前の作品なんだとパンフレットで知ったのだけどどうして他の作品のように皆が話していないのか分かった気がしてます。

 

ピピンの舞台セットは基本的にサーカステントから場所が変わらない。サーカステント内で劇中劇を行う形式。現実と非現実の世界が混ざり合うだけでなく劇中劇と狂言回しの存在によって物語を客観視出来るようになっているのかもしれないと後述の記事を読んで思いました。ノートルダムの鐘みたい🔔と思うのも教会で演じられる劇という形式からかと思います。

 

spice.eplus.jp

オリバー!も詳しく書いてくださってた方だなぁと読んでてすぐ分かる😊好き

リーディングプレイヤーが狂言回しというので思い出していたチェ「こいつはサーカス!猿芝居」から始まるエビータの比喩ではなくてピピンはサーカスそのままの姿というの確かにって読んで思う!

主にドイツの演出家・劇作家のベルトルト・ブレヒトによって探求された演劇のあり方。報告や叙述を行なったりコーラスや映像によって註釈をつけたりする第一次世界大戦後のドイツで試みられた演劇のやり方を「叙事的」と称するところから発展した。叙事的演劇は、劇的な演劇とは異なり、非アリストテレス的である。観客を舞台のアクションに巻き込み感情を湧かせる演劇の劇的形式に対して、叙事的形式は観客を観察者にするのであり、また観客に目の前の出来事への理解を委ねるところに特徴がある。したがって、叙事的演劇は「アリストテレスのいわゆるカタルシス——すなわち、ヒーローの感動的な運命に感情移入することをつうじて、情緒を排出し、解消すること」(ベンヤミン)を取り去って、筋の展開よりもヒーローの置かれている状況を描き、この状況への驚きを観客に求める。観客に状況を発見させるために劇の流れを中断させる。その中断のために用いられたのが、異化効果である。具体的には役者に社会的身振りの引用を行なわせることで、異化効果は社会的身振りを意識化し、それによって観客は通常とは異なる文脈のもとでその状況を反省するよううながされた。

叙事的演劇 | 現代美術用語辞典ver.2.0 (artscape.jp)

叙述的演劇と異化効果
 それまでの演劇は、カタルシスにより日常に感じたことを発散させるがゆえに、批判的判断力を失わせるとブレヒトは考えました。カタルシスを目指す演劇では、舞台と観客を同一化させることを目的とします。
 これに代わり、出来事を客観的・批判的に見ることを観客に促す叙事的演劇を提唱した。
 その方法の一つが異化効果です。これは、見慣れたものに対して奇異の念を抱かせるものです。異化効果では特に、文字や音楽を活用して、観客の感情移入を生じさせない舞台を作り出します。

ベルトルト・ブレヒト (rinnsyou.com)

ベルトルト・ブレヒト的な演劇思想の表れが分からなかったんだけど調べてみるとそうだなぁという気がしてくる。岡目八目を狙って行うの面白い考え方。

 

Corner of the skyの歌詞、For goodを感じたけど比喩がシュワルツさんらしさなの?表し方が美しくて好き。
この曲に美しく惹かれてしまうほどPopularという気もするし。つい歌ってしまえばピピンになる可能性を味わうから日常に非日常を持ち込むことになるよね。

 

www.tjapan.jp

後々からこの人もボブ・フォッシーに影響受けてたんだなぁと思うことが多い振付家さんだなと感じます。

「彼はステップを教えるのではなく、ストーリーを伝える人でした。彼の仕事を正確に伝えるには、振付の背景にある膨大な情報をともに伝えなければならないんです。単なるステップの再現に終わると、芸術性の部分が薄れてしまう。そうなっていくことをとても危惧しています。」

今までフォッシーの振付を見たのはダンサーさんで元々フォッシーが好きな方が多かったのかもしれない。ステップも雰囲気もフォッシーだと感じたから。でも今回のピピンはそれほど今までフォッシーだと思ってきた感覚が薄いのに振付・ステップはフォッシーでした。このインタビュー読んで本質は振付雰囲気ではないんだというお話に納得します。

サーカスをしているから思っていたより踊る場面が多くないんだなという印象でもあるんだけど仮面劇だった頃はどうなんだろうか??ダンサーさんがいることを思うともう少しダンスを見たかった気持ちはあれど作品全体のサーカスとダンスの分量はバランス取れていて素晴らしいと分かる。もどかしさと素晴らしさの両立って感じ。

 

幕間になってそういえば去年もジェイミーの親子で森崎ウィンさんと今井さん拝見したな~と思い出していました。ピピンのキャスティング発表されてたならジェイミー観てる時からピピンの親子が見えてる方がいたのか~と思って🤔

 

リーディングプレイヤーのCrystal Kayさん、誰がどう見ても格好良い✨あの衣装格好良すぎる!最初ピピンのリーディングプレイヤーは女性なのかと思ったら男女関係なくなれる役なんですね!後から考えたけど確かに何も問題なさそう。

 

ファストラーダの役もすごいけれど求められるダンスもすごくない?私、ACLキャシーのダンスってものすっごく大変だと思うんだけど霧矢大夢さん華麗に踊ってらして驚きました!凄すぎる~~なんだろう?なびくかは別として一筋縄ではないし絶対に思惑があるし利用されるなと思うんだけどその魅力は認めざるを得ない女性です、ファストラーダは。

 

岡田さんが出演されるのは知っていてどんな役なんだろう?とルイスの説明読んだら"頭が弱い"とあって察してしまった!これは大変信頼できるやつだと!やれば出来そうなのになんか王様にはしたくない感じが絶妙でした(笑)ピピンだって世間知らずで王様にするには頼りないのにルイスよりはピピンだなと判断してしまう塩梅が好きすぎます。フィエロであんなに格好よくて格好良い役出来るのに格好良くない役が上手すぎる!

 

バーサの場面自体信じられない!周囲に中尾さんくらいのお歳の方沢山知っているけれどその方々が同じことをされる姿を思うと中尾さんの努力がとてもよく分かります。あまりにも格好良い~~

 

幕から出てきた時からずっと気になっていた方、神谷さんだった!

 

自分探しの旅とかよく言いますけど自分には何が出来るのだろう?は何にせよ考える時は訪れる。自分の可能性への期待を極端に解釈して望みを叶えようとする物語。キャサリンの今までのピピンとは違う発言で既に何度もクライマックスを迎えているのだと分かります。そしてピピンがキャサリンと歩み出すもテオがCorner of the skyを歌い、サーカスの皆が近づいてくることで新たなピピンになろうとしているのが分かります。Corner of the skyは新たなクライマックスを迎えるものを求めるために記憶に残る良い歌なのだと思うとそれだけ自信のある一曲なのだと思うし本当に良い曲。そのポピュラリティー・大衆性が怖い。