珈琲とmilkのパーセンテージ

苦かったり甘かったりするので無機質の筆や箱で切り取ってみる。

信長の野暮-2023/05/13-

2023/05/13(土)マチネ

吉祥寺シアター

STAFF

作・演出      佐藤慎哉(アナログスイッチ)

舞台美術      平山正太郎(センターラインアソシエイツ)

演出部       三津田なつみ

照明        齋藤拓人

音楽        福永健人(airezias)

音響効果      天野高志(RESON)

スタイリスト    田中あゆみ

ヘアメイク     成谷充未

和物衣裳      加藤佑里恵(藤衣裳)


宣伝美術・グッズ  デザイン太陽と雲

撮影        山岸和人

WEBコーディング  阿波屋鮎美(ブラン・ニュー・トーン)


プロデュース/制作  中村加奈

制作助手      阿南美咲

広報        丸山香織(アナログスイッチ)

票券・デスク    よしよしこ(アナログスイッチ)

当日運営      吉乃ルナ

企画・製作     アナログスイッチ

 

キャスト

spi 奥谷知弘 井尻晏菜 澤邊寧央

渡辺伸一朗 大迫綾乃 秋本雄基 雨宮沙月 忠津勇樹 藤木陽一(以上 アナログスイッチ)

佐藤新太 吉田紗也美 

久保貫太郎(クロムモリブデン) 井内ミワク(はえぎわ)

 

あらすじ

明智光秀によって本能寺に追い詰められた織田信長

「これが最期」と覚悟を決めて目を閉じる。

が、ふと気がつくと冴えないワンルームでひとり

ゲームに明け暮れる田中の隣にタイムスリップしていた…!


偶然にも現代へと時空を超越してしまった戦国武将と、

彼らと共に生活することになった住人たち。

合わないのは時代のせい?個性のせい?

数多の混乱を面白おかしく描く、

空前絶後のシュチュエーションコメディ!

 

2013年、2018年と上演され好評を博し、

2023年5月アナログスイッチオリジナル企画として

バージョンアップして帰ってきます!

www.analog-switch.com

analog-switch.com

どんな食レポより心からの「美味しい」の方が美味しさ伝わるようにいくら言葉尽くしても純粋な感情としての「楽しかった」「面白かった」の方が真実なのだけどただそれでいいかといえば私は良くない。なぜなら後から思い出したいから。言葉が残っていないというのは寂しいものだから。少しでも書き留めておこうと思います。

 

前に吉祥寺シアターへ行ったのはNoism (舞踏公演)だったから可変式のKAATのように客席床へ斜度つけてると思ってたんですがここはいつも斜度ついてるのかな?前が被らず見やすくて嬉しい😂

「信長の野暮」観てきました~!

この公演が好きだという声を沢山見かけていたから楽しみでした☺楽しいと期待して劇場向かい、楽しかった面白かったと帰れる求めたままのコメディいい~~!登場人物ひとりひとり(そして自分自身の周囲の方々)が愛しく思えるようなぬくもりも好きです。
繰り返しちゃうけど笑いたい楽しいものを見たいが叶うのって稀有。舞台は確かに非日常なのだけど日常の中に地続きで劇場・舞台があるのだと感じられる身近さがのぶやぼは良いです。

舞台セット

青、緑、赤のお部屋について

のぶやぼのお部屋、裕也部屋は青で明智の家紋の桔梗を思い出すなら他の部屋も関係が?と調べたけど2階が武田家で赤(軍装が赤だったらしい)、田中部屋は緑(織田の家紋は織田木瓜)とか?なんか関連あるなら知りたいなぁ!

【刀剣ワールド】明智家(明智光秀)の家紋 (touken-world.jp)

武田信玄の家紋「武田菱」について。天皇陛下も使ってる? | 歴史をわかりやすく解説!ヒストリーランド (history-land.com)
「どうする家康」武田氏の赤備えはいつはじまり、どのように継承されたのか(渡邊大門) - 個人 - Yahoo!ニュース
【刀剣ワールド】織田信長の家紋 (touken-world.jp)
全体的には黄色が多くてお洒落だなあという印象を受けるから段々とああウォーホール(バナナ🍌)に似てるかな🤔?とは思った。

5分で学ぶポップアートの旗手 アンディ・ウォーホル - NEW ART STYLE

能舞台とは全然仕組み違うけど建物の中に屋根があるのが面白い。令和のアパートと戦国時代の本能寺が同時に見える歪んだセットは据え置きで人が出入りしていく定点観察の面白さといいますか。とても好き。
横浜能楽堂|スタッフブログ能楽堂の建築についてのお話です。(柱のお話) (yokohama-nohgakudou.org)

タイムスリップ場面

信長が本能寺で責められ最期を覚悟する場面、通路階段での信長の心情吐露は客席を鬱々した空気が包む。短刀を握りいざという瞬間にセットを覆っていた白幕が落ちて令和へタイムスリップ。歌舞伎とかだと浅葱色の幕が落ちて目に見える光景の目映さと美しさにのまれて感動みたくなるのに、のぶやぼは世界が見えた瞬間の肩透かし度合いがすごいwそら笑っちゃうよね。

まず定式幕が引かれて開幕しますが、舞台全体がこの浅葱幕によって隠されていることがあります。そしてチョンと柝が打たれるのをキッカケに、浅葱幕がパラリと落とされ、豪華な舞台面が一瞬にして現れます。この手法を「振り落し」と呼びます。また逆に立廻りの途中などで浅葱幕が上から一瞬で下りてきて舞台面が隠されるのを「振りかぶせ」といい、しばし後に再び振り落とされて次の場面が一気に現れます。これらは道具転換をも演出の一環とし、視覚的に観客を楽しませる歌舞伎ならではの手法です。
歌舞伎用語案内 (kabuki.ne.jp)

ただ存在している

何もしなくても肯定される

のぶやぼがいいなぁ~~と思う理由のひとつに何もしなくても肯定されるがあります。赤影馬の芯の名前が残ったり、田中と晴海さんが知り合っても特に何も起こらなかったり。故に観劇後になんとなく心が上向いた印象を持って帰路につけます。
舞台では聴覚情報だったから気がつかなかったけど「赤影馬の芯」って「馬之進」じゃないんかい!銀魂じゃないのに誰が名付けたんだと頭抱えてしまうくらいの驚きです。でもあのくらい堂々としてるなら誇りがあるのかな…それなら素晴らしいことだよ。私の思考こそが野暮かもしれない。

下級武士・赤影馬の芯

ともかく名が残る戦国武将の面々の魂がタイムスリップしている中、名の知れない下級武士・赤影馬の芯が令和で時間を共にし元の時代へ戻った。それ故に明智光秀生存並びにザビエル墓参りルートを決定づける史料に「赤影馬の芯」の名前が出てくる。『太平洋序曲』で日米の会談を幼い頃に見た老人、その幼い頃の姿をした少年、屋敷の床下に潜む侍が会談があった事実だけ(実際何があったかはよく分からない)を歌う「Someone in a Tree」というナンバーのように”そこにいた”が肯定されていて嬉しくなる。

何も起こらない

田中と晴海さんが知り合って晴海さんを想い行動するのを見ていたら恋が成就するエンドがありそうなのに結局浮気男の裕也とよりを戻す晴海さん。恋に関しては進展なしだった田中は芸人としての野望を果たすべくコンビを再結成する。一人一人が魅力的でみんな何かしら足りないところがあって誰かを傷つけてる。七転び八起き、結果起き上がれればいいんじゃない?くらいの気軽さを舞台から感じて現代の人々もただそこにいるが肯定されていて嬉しくなる。

適する人数

小劇場は空間がコンパクトだから出演者が多いともう少しシンプルな方がいいのでは?と思うことがまぁまぁありますが、のぶやぼは全員が必要なのが好きです。こういう印象になることあまりないから脚本が素晴らしいのだろうなぁと素人目で恐縮ですが感じました。

本能寺アパート

武田家

こんなに声がスパンと聞こえてくるお母さんも、あるあるの解決方法がこんなに奇抜なお母さんもなかなかいないけどリアルな出来事に思えるのだよね。お父さんの側面が凝縮されたお父さん、タイムスリップ時の硬直が美しすぎて心配。

田中の部屋

新しいものが好きだとしても令和でののぶちん・織田信長の適応能力が凄くて、さらにはタイムマシンを作ろうとして実際作るの成功してるのかっこいい✨私なんかスマホが何で動いてるのかさえ分からず使ってるのになぜ?どうして?どうやって?と興味を持つのは得難い才能ですよね!素敵すぎる✴️

タイムスリップしてきた信長がいきなり現れたのにわりと動じない適応能力が高すぎて危機感持たなさすぎる田中もなかなか。偶々だとしても袖振り合うも多生の縁みたくピースがハマる必然さを感じます。のぶちん、田中もってる💪💪

信長にグッとくるのは自分自身がとんでもない状況にあるのに部屋の外で泣いている晴海を引っ張り、とりあえず自分自身の安全圏である田中の部屋に投げ込んだこと。優しさだと理解したんだけどそうだよね?そう瞬間的に人を見抜いて行動に移せる人いないよなぁと思って。
実際そうじゃない人もいると思うけどリーダーは愛される人・人たらしだと良いと聞きます。そもそもリーダーは役割的に嫌われやすいのだから愛される人は強いですよね。spiさんの急にぐいっと距離感が近くなるような人との相対する感覚や平常心、親密さ、人としてのかわいらしさがそのままハマってる感じがしました。服装からしても普段のspiさんに近いのだろうかと思うけどどうなんだろう?

織田信長の作品を見るたびに浅利さんがALWかティムライス、もしくはお二人に織田信長を題材にどうかと勧めていたという話思い出します。明確に何で推しているか書いてあるわけではなかったと思うけど信長、光秀の関係性は魅力的で2000年前の裏切りを思うと理解しやすさもある気がする。これどこに書いてあるか探しても見つからないんだけどご存じの方いたら教えてください。

終わってみてみたくなった場面

救世主が立ち回ってる時の信長、存在に気づいてタイムマシンを作り始めたのか、光景を見てまたは状況を経て興味関心からタイムマシンを作り始めたのか。